2017.12.14 | UX

電車やバスが来るまでの時間、カフェやレストランで注文したものが来るまでの時間、病院での診察待ちの時間…私たちの日常には、様々な待ち時間や隙間時間があります。

スマートフォンの普及・発達や、シェアリングエコノミーの概念が広がっている中、カップラーメンが出来るまでの3分間ですら何か別の時間に充てている人も多いのではないでしょうか。

そんな中で、様々な業界で自分たちが提供するサービスの待ち時間や隙間時間を活用した事例をご紹介します。

待ち時間もUXの内
人は待たされている間、どのように感じるものなのでしょうか。経営コンサルタントのデービッド・マイスター氏は、「マイスター8つの法則」として以下のような法則を挙げています。


・何もしていない時間は長く感じる
・人はとにかく何かに取り掛かりたい
・不安があると待ち時間は長く感じる
・待ち時間がわからないと長く感じる
・理由もなく待ちたくない
・不平等な待ち時間は長く感じる
・価値あるものに対する待ち時間には寛容になれる
・独りの待ち時間は長く感じる


これを見ると、サービスを提供する上でただ仕方なく発生している待ち時間に対しても、ただ待たせるだけではなく、いつまで待てばいいのかわかるような仕組みや、待っている間に気を紛らわせる工夫をするべきだと言えます。

サービスを利用する上でのユーザーエクスペリエンス(UX)は、サービスそのものだけではなく、こうした待ち時間も含まれていることを忘れてはいけません。

スマートフォンが普及したことでこうした待ち時間の苦痛は軽減されているものの、そこに更なるサービスを提供することでUXが改善されるだけでなく、新しいビジネスのチャンスにもつながります。

 

美容室での待ち時間を利用した「Salon Screen」

美容室で髪を切ってもらっている間、何をしていますか?カットが終わるまで美容師さんと会話をしている人が多いのではないでしょうか。ただ、初めて行く美容室だったり、特に指名をせず毎回違う人が切ってくれる場合は、会話が弾まずに雑誌を見て過ごすこともあるかと思います。
この待ち時間に、動画サービスを提供してくれるのが「Salon Screen」というサービスです。

店内に設置されたタブレット端末に、お店で提供している商品等の広告を流すことで、カットが終わるのをなんとなく待っている人も気が紛れ、お店側の売上にもつながります。

ここで大切なのは、ただ手当たり次第に広告を流すということではなく、美容品等ユーザーが興味を持っている商品の広告を流していることです。ユーザーに対して有益で、かつ店内の雰囲気を損なわない内容にすることで、UXの向上と売上への貢献を成功させている事例です。

 

コインランドリーの待ち時間を優雅に過ごせる「Freddy Leck Waschsalon Tokyo」

一人暮らしの場合、洗濯機を買わずにコインランドリーを利用する人も多いのではないでしょうか。しかし洗濯・乾燥が終わるまで大体一時間ほどかかってしまうものです。
そんな待ち時間を解消してくれるのが今年の7月に東京に進出したFreddy Leck Waschsalon Tokyo(フレディレック・ウォッシュサロン)です。ドイツ発のこのコインランドリーにはカフェが併設されており、洗濯・乾燥が終わるまでの時間をゆっくり過ごすことが出来ます。
地味で退屈なイメージのあるコインランドリーでの待ち時間も、お洒落な店内でのコーヒーブレイクに変われば利用者の満足度は大きく変わります。

 

スポーツ観戦に来た人だけが参加できるオークション「DROPIT」

スポーツ観戦中にも待ち時間は発生します。会場で他にすることもないため、ハーフタイムの時間に少々退屈してしまう人も多いはず。そこでアメリカで広がっているのがDROPITというオークションサービスです。
DROPITは会場のモニターと観客のスマートフォンを利用し、観戦に来た全ての人が参加出来ます。1分間のオークションを行い時間の経過につれて値段が下がっていくというシステムで、安く買いたい、でも待てば待つほど他の誰かが買うかもしれないという、チキンレースのようなオークションになっています。
これも、商品を提供しているスポンサーの宣伝になるだけでなく、観客が参加出来るエンターテイメントを提供することで待ち時間の退屈を紛らわし、「試合観戦」という体験のUXを改善しています。

 

実店舗だけにとどまらない待ち時間の有効活用
今回紹介した事例は主に実店舗での待ち時間の活用事例でしたが、ネット上のサービスでも待ち時間を活用することが出来ます。例えばドミノ・ピザのスマホアプリには、注文を終えたピザがトッピング・焼き上がり・配達のどの工程にあるのかが一目でわかるPizza Trackerというサービスを提供し、さらにその間の一定時間だけクーポンを配布しています。

配達員がどの辺りにいるのかGPSで確認することもでき、「マイスター8つの法則」で挙げられている心理を解消するようなサービスになっています。
ちなみに1分間で出来上がるカップラーメンは既に開発・商品化されていますが、3分ほど待たされた方が美味しく感じるという説もあるようです。

待ち時間があるからこそ高揚感が生まれることも事実であり、大切なのはユーザーにとって最適な提案を考えることです。

 

ルグランでは、自社サービスのUI・UXの改善のお手伝いをしています。自分たちの顧客がサービスを利用する際にどういった理由から、どういった行動をしているのか、その改善策は何なのか、一緒に考えてみませんか?



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